VEMAC 通信 Vol.16 2006-6-13 発信

今年も梅雨の季節となりました。
雨にぬれて鮮やかな緑の中のドライブ、なかなか好いのではないでしょうか。

今回は、以前にもご紹介いたしましたVEMACオーナーのNさんよりお送りいただいた随筆をお届けします。

ヒール & トゥ ◆

レーシングカー譲りの「右シフト」ばかりが喧伝されるVEMACですが、それ以外にもレーシングカーの流儀がそこかしこに見られます。そこで今回はペダルに注目してみたいと思います。
 
かなり奥まった位置にあるVEMACのペダルは、それ故にあまり目立ちませんが、まさにレーシングカーそのものの仕上がり具合となっています。まず、ペダルが「下方支点」であることが特徴的です。フォーミュラカーを含めた殆どのレーシングカーがこの方式を採用していますが、何故でしょうか。

 
まず軽量コンパクトなこと、もともと着座位置が低いので足の動きにも無理がないこと等が考えられるのではないと思います。以前は市販スポーツカーにも数例見られた「下方支点」ペダルは、最近ではまったくと言って良いほど見られなくなってしまいました。たぶんコストの問題なのでしょう。ロータス・エリーゼだって一般的な「吊り下げ式」ですものね。
 
つぎに、VEMACのペダルの圧倒的な品質の高さが挙げられると思います。ドアを開けて中を覗く機会があったら、ぜひとも屈み込んで、鈍いアルミ色を放つ、恰も工芸品のようなペダルを見ていただきたいですね。部品として飾っておきたいほどの品質であることがお解りいただけると思います。まさにオーナーのPride & Joyですね。
 
そして、実際に使ってみての感触が素晴らしいことにも驚かされます。「剛性感」が違います。さらに動きがスムーズ
なんですね。ミッドシップ・レイアウトの場合、スロットル・ケーブルはコックピット背後に届かせるため、ずいぶんと長いものになります。そのためNSXなどは電子スロットルを採用したほどですが、普通のケーブル作動のVEMACがこれだけスムーズな動きを実現しているのは、精度の高いペダルあってこそだと思うのですが、いかがでしょうか。


さて、VEMACを駆ってワインディングロードを走る時、繊細にして大胆なペダルワークとギア・シフトは大きな悦びの
ひとつと言えましょう。

そのステージで求められるテクニックに「ヒール & トゥ」があります。ブレーキングしながらのシフトダウンに必須のテクニックですが、齢五十を過ぎた小生は必ず「ダブル・クラッチ」を伴ってしまい、現代のドライバーが行なうクラッチを切ったまま「中ぶかし」を入れるやり方が、どうにも上手く出来ません。身体に染み着いちゃったんですね。
 
VEMACのペダル・レイアウトは「ヒール & トゥ」に最適です。
けれども、ブレーキがあまりにもリニアに効くため、「中ぶかし」を入れる際にブレーキの踏力が弱まってしまうことがすぐにバレてしまいますね。

上手く決まった時などは、自分がすごく上手になった気にさせてくれるVEMACですから、まだまだ練習あるのみです。

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